タイムパトロールについて【ドラえもん】
タイムパトロールについてご存じでしょうか。タイムパトロールはドラえもん、T・Pぼんなどの作品に出てくる、歴史を改ざんしようとする時空犯罪者を逮捕し、正しい歴史を守る役割を持つ組織です。
22世紀のどの家庭にもドラえもんがいるので、だれもがタイムマシンを使える状態です。誰でもお手軽に歴史変え放題ですから、それを阻止する抑止力となるのがタイムパトロールなのです。作品に登場するときは、基本的にドラえもんの味方です。事件の後処理係として登場することが多いのですが、登場するたびに私はこの疑問が思い浮かびます。
なんでドラえもん捕まらないの?
犬と猫の文明をつくったり、過去を変えて鉄人兵団の存在をなくしたりしているドラえもんの方がよっぽど歴史変えていませんか?まあ、「ドラえもんは主人公だから…」といわれると元も子もありませんので今回は製作の都合は考慮しません(笑)。そもそものび太の孫であるセワシがドラえもんを連れてきたことも歴史改変になります。
のび太の人生が変わるくらいなら大きく歴史は変わらないと考える人もいるかもしれませんが、これは大きな問題になりえます。SF用語でバタフライ・エフェクトという言葉があります。もとは力学系の用語で、バタフライ・エフェクトとはある地域で蝶が羽ばたいたことが、別の地域で竜巻が発生する要因になりえるというものです。つまり、些細な出来事が世界そのものに大きな影響を与えるということです。のび太がジャイ子ではなく、しずかちゃんと結婚することで世界経済がよくなるかもしれないし、悪くなるかもしれない。
そこで、タイムパトロールは対象がどれだけ歴史に影響を与えるのかの指標を測るチェック・カードが存在します。(藤子不二雄の作品の「T・Pぼん」、「のび太の新恐竜」に出てきます。)
では、のび太の人生の変化は歴史に大きな影響を及ぼさないから、セワシとドラえもんは過去に介入できたのでしょうか。2020夏公開の映画、「のび太の新恐竜」で明らかになりました。「のび太の新恐竜」では、歴史を変えようとしたドラえもん一行がタイムパトロールに逮捕されそうになります。タイムパトロールがチェックカードをのび太にかざして、のび太自身の歴史の影響力を測ったところ、態度が一変してのび太たちを拘束せず解放しました。その後、隊員は「あれが正しい歴史なのだ。」と言い残し去っていきました。つまり、のび太が歴史に干渉することが正しい歴史、正史であるということです。
のび太は歴史において影響力がないのではなく、むしろのび太一行が歴史を作っているのです。
のび太たちが歴史を大きく変えるような事件を起こしても、それこそが正しい歴史であるから。
ここで、今までずっと疑問だったことに新たな解釈が私に生まれました。漫画「ドラえもん」の一話でこんなシーンがありました。
のび太とジャイ子の孫であるセワシが、しずかちゃんとのび太の孫として生まれてくることないでしょ!
ちっちゃいときはなんとなく理解していたつもりですが、どう考えてもおかしいですよね。今、考えるとのび太を納得させるために、セワシが嘘をついているようにしか思えない。ここで、のび太の人生が深く歴史にかかわっていることを考慮すると、こんな説が浮かび上がりました。
もともとセワシはしずかちゃんとのび太の孫で、のび太の近くにドラえもんを置かせる役割を持つタイムパトロールだった。教育係としてドラえもんを派遣することをのび太に納得してもらうために、「自分はジャイ子とのび太の孫で、のび太のせいで未来では、家族全員が貧乏で大変な思いをしている。」と嘘をついたのではないでしょうか。こう考えれば辻褄が合うと思います。いつかセワシについて言及されるときが来るでしょうか。
いかがだったでしょうか。ドラえもんは、映画で既存の設定の掘り下げが行われたりするので、映画を見る際はそこを注意して見るのも楽しみの一つであると思います。今回はこの辺で。ここまで読んでくださってありがとうございました。
タイムパラドックスって?タイムパラドックスの仕組みと解決方法を解説
タイムパラドックスって?
みなさん、タイムトラベルは好きですか?
「時をかける少女」、「back to the future」、「君の名は。」など時間旅行を扱う作品は多いですよね。そういった作品を見た人は一度は過去に戻ってみた自分、未来に行ってみた自分を想像したことがあるでしょう。本来その時代にいてはいけない人物、ものが存在することで起こるのがタイムパラドックスです。例えば、自分がまだ母親のおなかの中にいた時代に自分がタイムスリップしたとすると、同じ時代に自分が二人存在していることになります。これがその時代の人々に知られた途端に矛盾が生じるのです。
同じ人物が二人存在しているという矛盾です。他にも有名なタイムパラドックスとして「親殺しのパラドックス」というものがあります。
親殺しのパラドックス
自分が生まれる前の父 現在の自分
過去 現在
タイムスリップした自分
上の図のように現在から自分が自分が生まれる前で、かつ父親が生きている時代までタイムスリップしたとします。ここで何を思ったのか、自分の父親を自分が殺してしまいました。(あくまで可能性の話です)
自分って存在しなくない?
そもそもタイムスリップできる?
過去 現在
すると、自分の親がなくなったんだから自分は生まれてきませんですよね?生まれてこないってことは存在しない。存在しないものがタイムスリップできないので父を殺すものが現れずに、自分が生まれる。すると自分がまた父を殺しにタイムスリップする...このように堂々巡りになってしまいます。これが「親殺しのパラドックス」です。タイムスリップできても何らかの力が働いて親を殺すことができないのか、タイムスリップすらできないのか.... タイムスリップは想像上の技術なので確かめようがありません。そこでこの「親殺しのパラドックス」の解決するために大きく三つの案があります。
①並行世界(パラレルワールド)が存在する
これは有名ですね。ドラえもん、fate grand orderなど様々な作品でも出てきています。これはタイムスリップした時に自分のいる世界の過去に行くのではなく、自分のいる世界とよく似た世界の過去に移動しているという解釈です。つまり、自分が殺した父は別の世界の自分の父なので、自分は存在することができるのです。都合この並行世界についてはまた別の記事のトピックにしたいと思っています。
タワークイーンのリラ ハンサムの部下のリラ
②そもそも過去は変えられない
タイムスリップできるが、未来人が過去を変えることができない。歴史がすでに決まっていてそれを変えようとすると、修正力が働いて過去を変えることができない。タイムスリップすること自体が歴史に大きく影響を与える可能性がありますから、この解釈だとタイムスリップすらできないかもしれません。(そうなると物語の趣旨が崩れるので採用されることはないと思いますが)「流星ワゴン」などもこの解釈だと思います。主人公が過去を変えようと努力しても現在は変えられず、主人公自身が変わるしか現在を変えることができなかった。過去を変えられない、変えられるのは自分だけだというのも、物語としてすごく面白いですね。
➂未来からくること自体がすでに歴史の一部だった。
タイムスリップしてくること自体がすでに予定通りであり、殺した父は実は自分の生みの親ではなく、自分は別の父親の子であったなど。自分がタイムスリップすることで正しい歴史につながるという解釈です。ドラえもんではよくこの解釈が使われています。未来へいってテストの答案見ようとしたら、未来の自分に怒られるみたいなエピソードがありました。あとは「魔界大冒険」もこれに当てはまりますね。
終わりに
いかがだったでしょうか。今回はSF作品で扱われるタイムパラドックスについてまとめてみました。タイムスリップを扱った作品を見るとき、どんな解決法を使っているのか注目してみるとより面白く作品を楽しめるかもしれないですね。次はドラえもんのタイムパトロールについてまとめてみたいと思います。